貫いた嘘と真実② 

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俺はこの時から、ある計画を立てていた。 バイトを始めた一番の理由は、彼女にあるものをプレゼントしたいと思っていたからだ。 「この留学って…」 「秋学期から一年。 あっという間だろ?」 一年…。 「楢崎、元々向こうの大学に進学したかったんだろ? 教授からの推薦があった方が確実に有利だし。 ってことで、お前をお墨付きにしたから頑張れよ」 「お墨付きって…。 いや、俺は無理ですよ。 第一研究もまだ先が見えていない状況だっていうのに…」 「お前らはいい研究をするよ。 それは確証する。 こっちで一年勉強するのと、向こうでの一年は違うんだよ。 海外生活の長い楢崎ならわかるだろ? 俺は実力がある奴にしか推薦書を書かない。 落ちたら落ちたでいいし、受けるだけでもいいから」 「でも、もし受かったら…」 「…何? 離れたくない相手でもいるわけ?」
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