200年後の天命

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「店長! この食材はどうやって仕込みます?」 「店長ー、お客様に怒られたよー」 「店長、明日学校でちょっとシフト遅れます。すんません」  学生バイト達はそろいもそろって、店長店長と私のことを呼んでは仕事をどんどん増やしていく。  これはちょっと前の日常風景。  あれが起こる日の前日だ。  お店は午前零時に閉店。遅くにも利用してくれるお客さんの為に料理を提供したり、翌日の準備を並行して進めている。 「次の飲み会はどうする? 店長?」  ニヤニヤと不適な笑みを浮かべながら同い年の男性フリーターが言う。  そんなことまで私が決めなければいけないのかと途方に暮れた。まぁ、飲み会自体は悪くないのだけれど。  そんな話をしてたら仕事が進まない。だって明日は……。  恐らく今日仕事が終われば徹夜で車を運転だ。  そんな事を考えると気が重くなる。    ようやく、最後のお客さんが支払いを済ませてお見送りし、後は翌日の仕込みと片付けのみとなった。 「店長!」  ふいにまた呼ばれる。私はいい加減にしろと思いながら声のした方を振り向いた。 「「お誕生日、おめでとうございます!」」  そこには、さっきまで忙しそうにしてたバイトの子達が1列に並んでいる姿があった。真ん中の女の子がホールケーキにロウソクを立ててこちらに差し出している。さぁ! と言わんばかりだ。  私はみんなが用意してくれたサプライズに驚きながらも、期待に応えてロウソクの火を吹き消す。  ロウソクの数は1本、2本、3本…………ちょっと待て、2本ほど多い。
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