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それからも、俺は相変わらず多忙を極めていた。
寝る間を惜しんでのバイトと研究。
そんな生活が続く中、葉瑠とはほとんど会えない状況が続いていた。
「怜斗の彼女、この前初めて見たけど可愛いじゃん」
バイトの休憩中、先輩の一言に思わず顔が緩んだ。
「有里果も見ただろ?
彼女に対する怜斗の甘々といったら。
超ベタ惚れじゃん。
彼女のためにシフトも倍以上に増やしてさ。
プロポーズするんだろ?
意外に一途というか健気というか…」
「その話はいいですって」
「……え?
プロポーズ?
怜くん、葉瑠さんと結婚するの?」
有里果(ありか)が驚いたように静止した。
有里果は、同い歳のバイト仲間だ。
バイトの初日に自己紹介された時、前に会ったことがあると言われたけれど、全く覚えていなかった。
人懐っこくて愛嬌いっぱいの有里果を、俺は妹のように可愛がっていた。
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