537人が本棚に入れています
本棚に追加
『お前どこにいんだよ!?
もうすぐ約束の時間だぞ!
早く来いって!』
クソ……時間がない。
「…わかった。ごめん」
待ちたい気持ちを我慢して、再びタクシーに乗り込んだ。
結局、打ち合わせには間に合うことができたが、肝心の彼女からの応答は一切なかった。
その事実に頭を抱えながらも、締め切りは刻一刻と迫ってくる。
それからも空いた時間を見つけ、電話やメールを発信し続けたが、やっぱり返事はなかった。
彼女は電源を切っているようだった。
こんなことなら、葉瑠の友達の連絡先を聞いておくべきだった。
連絡がないとか、そんな小さなことで君を責めたりしない。
葉瑠が無事でいてくれたらそれでいい。
会えなくてもいい。
せめて、声だけは聞かせてくれ。
最初のコメントを投稿しよう!