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『お前もうちょっとビシッと断われよ。
せっかく人が協力してやったのに。
もしかして断る時も優しく傷つけないように…とか思ってるんじゃねーだろうな?』
『…別に、そういう訳じゃねぇけど。
昔から女性に接する時はやさしくしろって口酸っぱく言われて育ったんだよ。
そういう文化が向こうの方が強いし…紳士的な男が当たり前って感じだし』
『だからって誰にでも優しくするっていうのは良くねぇよ?
優しいっていうのは返って毒になるからな。
必ず傷つけてしまう相手がいるってこと、忘れないように』
あの時の健の言葉が胸を突く。
あいつが伝えたかった意味をようやく理解した時は、もう遅い。
「だけどあの子だけは違う。
あの子と一緒にいる怜はまるで人が変わったようだった。
簡単に気持ちを譲り渡して、これ以上にないほど溺愛していた。
あの子への気持ちは本物なんだって一目で分かったわ。
結婚するって断言した怜を見た時は信じられなかった。
他の人を愛する怜を受け入れられなかった」
「……そんな理由で葉瑠を傷つけたのか…?」
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