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「他人の手であの子が傷つくのを見過ごしたまま彼女と一緒にいることを選ぶのか。
彼女を悪意の手から守るために私の描くシナリオ通りの別れを選ぶのか。
彼女を愛する怜は、どちらを選ぶのかしら…?」
「究極の選択でしょ?」と笑う美桜をよそに、俺はたとえられない絶望感に包まれていた。
冷たい。
体の芯は氷のように冷たくなっていた。
瞳も、心も、すべて。
色を失った。
この日のために用意した花束は地面に散乱し、美しく潤いに満ちていたスターチスは絶望的に枯れていた。
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