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「いや、予定通りするつもり。
ずっと前から考えていたことだから。
もうすぐ研究も終わるし、あと少しの辛抱だからな。
それに今、葉瑠と全然会えてないんだ。
留学のことは直接話したいし、落選してから全部言うよ。
プロポーズに関しては、彼女が受け取ってくれるかはわからないけど」
『白河さんが断るわけねぇじゃん。
お前らなら絶対大丈夫だよ。
先に言っとくわ。おめでとう!』
携帯越しに響いた声に耳がキンとしたけれど、始まりから俺たち見守ってくれた親友の祝福は、何よりも嬉しかった。
彼女と会えない日々はそれからも続いた。
研究に没頭する毎日。
一時はどうなるかと思ったが、寝る間も惜しんで取り組んだ成果もあって、終わりへの希望が見えてきた。
約二週間の海外研修を終えると、最後の仕上げに取り掛かる。
眠れない生活が続くけれど、それが終わればすべてが終わる。
しばらくは葉瑠との時間も作れる。
もう少し。
もう少しだ。
終わったら葉瑠を精一杯抱き締めてやろう。
葉瑠も夏休みが終わったら、忙しくなると言っていた。
今度は俺が彼女を支える番だ。
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