第一章 誘わないで

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この時期のプールって大概、張った水が濁って汚いものなのに。 「円香、行かないの? 置いてかれちゃうよ」 「あ……うん、先に行ってて。すぐに追い付くから」 沖縄や五島の海を彷彿させるような美しいプールだった。 そっか、ここは水泳部に力を入れてるから、屋外でも温水プールにして年中泳げるようになってるんだ。 皆が階段を昇りきってしまっても、私一人、そこにたたずんだまま、キラキラ光る水面に見とれていた。 「ショートヘアの美人さん、迷子になったの?」
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