198人が本棚に入れています
本棚に追加
/409ページ
背後から話しかけられ、振り返ると、
「おー、やっぱり美人だ。一年生?」
上級生らしい男子が笑って私を見ていた。
「……迷子にはなってないけど、一年です」
人懐っこい笑顔。
長身のスラリとしたスタイル。
少し緩めたネクタイと、ズボンからはみ出しそうなシャツの裾。
そして、
「ふーん、一人で外観てタソがれてたの?」
階段中に響き渡る、低音で印象的な声。
「別にタソがれてませんけど」
とてもモテそうな人だと思った。
「あ、そ」
「はい」
だけど、軽そうで私の好きなタイプじゃない。
それ以上会話を続けることもなく教室へと急ごうとした。
「あ……っ!!」
なのに、新しい上履きに慣れてないせいなのか、階段から足を踏み外してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!