第一章 誘わないで

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入学して早々に保健室なんて嫌だ……。 しかし、痛みに耐えられずに、その上級生について向かうと、 「なんだ胡桃沢。早速、新入生をナンパしてるのか?」 保健室には、今まで見たこともないような、綺麗な顔をした男の人がいた。 「ナンパするなら放課後にするし〜。この子、転んでケガしたから手当てしてやってよ、藤木センセ」 保健室の先生、藤木っていうんだ。 「あー、ほんと結構ヒドイね」 胡桃沢という上級生もイケメンだけど、この藤木先生の美貌は、比較にならないほど類い稀なかった。 艶々の黒髪。 毛先はパーマかけてるのか、少しうねっていてそれがまたフェミニンな印象。 白い肌に上品なパーツが完璧に揃った顔。 白衣がよく似合う。 「どこが一番痛む? 手首?」 先生に見とれて、痛みも飛んでいってしまっていた。
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