第六章 ヒーラー兼魔物使いのボブ

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 「しかし都会っ子の俺には森が似合わないな。それでも山菜やキノコには少し詳しいぞ。幾つか持って帰ろうかな。ってなんだあの平べったいのは。モンスターか!」  ゾーイは魔法を唱えるため戦闘態勢をとった。  「これ俺の今の仲間。ジェリースライムのアマモ。怒りっぽいけどいいやつ。」  ボブがゾーイを制止すると、同じく戦闘態勢をとっていたアマモの方を止めるのが間に合わずアマモが唱えた光の魔法が炸裂した。  咄嗟にその光の魔法を取り込もうとして魔法剣を取り出したハヤトだったが失敗してゾーイと一緒に魔法を受けてしまった。しかしそれほど強い魔法ではなかったので痛みはなく、その場で三人で笑い転げた。  「どうやら相手側に敵意があると魔法は取り込めないらしい。」  真顔になりハヤトは小声で呟いた。  その後ハヤトとゾーイはボブが暮らしている場所へと招かれて手厚い歓迎を受けた。ボブの一族たちと食事を摂る際にその席でハヤトはボブを時魔導士カメリアの護衛ために連れていっても良いかという話をした。  ボブはアマモを高く持ち上げて賛同してくれた。ボブの一族たちも名誉なことだといって許可してくれた。ボブの母も寂しそうだったが強くなるため、人として成長するために行くべきだと語った。  食事を終えるとハヤトがゾーイの合成魔法で負った怪我をボブがヒーリングの魔法で治してくれた。  それからは一晩中、昔話をしたりするのが楽しくてなかなか寝つけなかった。  三人が過ごしている簡易的なテントの中へ、歓迎の意を示しているという外の松明の灯が揺らめいて光り輝いているのが透き通って見える。燃えている木材から溢れ出す火の粉の細やかな粒がハヤトには集落の田んぼに実った稲穂を彷彿とさせながら眠りについた。
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