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きっとこの状態のままなら一人暮らしはやめさせられるだろう。
「精神疾患というのが気になるけど・・・、それにアルコールって・・・、蘭君の住むところ克昭のとこから近いわよね?一人暮らしさせるわけにいかないから、一緒に住まわせてくれないかな?もちろん家賃は払わせるわ。」
「克昭がいいなら俺は構わないよ。精神疾患については話してみないとわからないかな。」
もしもの時は催眠療法を使うことも考えよう。
ここまでの状態になる理由が気になるけれど、克昭には元に戻ってほしいのだ。
「俺はこのへんで帰りますね。」
「壱那、ありがとう。また連絡する。」
帰るという壱那にお礼をいい、心の中でごめんと謝る。
壱那がこの場にいても仕方ないことはわかっていた。
俺は小さな頃から克昭の家とは家族ぐるみの付き合いがあって、俺にも家族のように接してくれるおばさんが心細いというから付き添うことにした。
きっと医師免許を持っていることもおばさんからすれば心強いのだろう。
愛する人ひとりこんな状態になるまで何も出来なかったことに、今まで何の為に学んで来たのかわからなくなる。
自分の専門分野が克昭の症状としてあることに俺は小さくため息をついた。
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