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克昭・・・、その言葉は、誰に伝えたらいいんだ・・・?
お前は、その言葉を、誰に伝えたいんだ・・・?
これが今まで克昭が抱え続けてきた、ただひとりに向けた思いなのか・・・。
なぁ、克昭・・・、お前の思いが届いたその時は、俺は邪魔になるか?
俺は克昭の近くにいても、離れていても、お前を愛してるということは変わらないから。
だから、克昭、お前の望む通りにするよ。
お前が幼馴染として傍にいてほしいというのなら、俺はお前の傍から離れないし、俺の思いが邪魔だからいなくなってほしいというのなら、どこにでも消えてやる。
克昭は・・・、生きなきゃダメだ。
お前が生きることを諦めてしまったら、きっと俺も全てを諦めてしまうかもしれない。
克昭がいない世界で、俺は生きていく自身なんかないから・・・。
蘭華は止まらない涙をそのままに、薄暗い部屋に慣れた目で、涙でぼやけながらも克昭の顔を覗き見る。
克昭の頬にも涙が止まることなく伝っている。
けれど、克昭は今、この場にいないのと同じで、すぐ傍にいる蘭華の存在に気づいていない。
記憶の中で克昭は、本人がその場にいることを知らないままに、ひたすら蘭華に問いかけていた。
克昭が抱えていた思いは話すことによって蘭華へと伝えられていく。
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