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俺は基礎から2人に教えなければならないのかと内心ため息をつく。 「ごめん、霧留。頼む、教えてくれ。俺は卒業したい。」 「芳村は赤点回避できればいいんだよね。いいよ。それで、先生、合格ラインは何点ですか?」 芳村に答えるとホッとした顔をして、視線を担任へと向けた蘭華は合格となる点数を聞く。 追試を今まで一度も受けたことのない蘭華には何点が基準なのかさっぱりわからないのだ。 「通常と違って追試は60点が合格ラインなんだよ。全教科60点以上ないと点数が取れるまで延々と続くんだ。月に1度の月末だから今回だめなら次は12月末だね。2月でダメだった場合留年になる。」 全く気にすることのなかった蘭華は、担任の説明にそんなシステムになっていたのかと驚く。 「今まで留年した人いるんですか?」 「いないね。普通に授業受けていればたいていは追試にならないと思うんだよね。」 確かにそれはわかるんだけど、実際ここに普通に授業を受けていたはずなのに、合格点を取れていない人が2人もいるのだと蘭華は不思議に思う。 「悪いんだけど何もなければさっそく今日から放課後お願い出来るかな?」 「わかりました。」
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