【8】

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克昭は焦る宗助に笑いそうになったけれど、傷が痛んで笑えそうになかった。 病室のノックの音が聞こえ看護師が顔を覗かせたことに気づいた蘭華がドアのところまで行って話しているのが見える。 看護師の頬が赤く染まっているのを見て、ああ、こいつ蘭華に惚れたかもなんて思ってしまう。 蘭華は入り口で看護師が克昭の傷の消毒に来たことを告げられ、自分がやるからと引き継いで他の病室へと行ってもらうことにした。 記入するものを説明され、体温なども計ってほしいと頼まれる。 いくつかのものを受け取って克昭のところへと戻り、芳村には一度病室から出てもらわなければと考えた。 「芳村、検温とか傷の消毒したりするから一度出てくれる?」 「時間かかりそうだし、俺帰るよ。すぐ退院出来るんだろうし、また会おうよ。じゃあな。」 そう言って病室から出て行った芳村を見届けてから、もう大丈夫だろうかと克昭の布団を捲る。 克昭が両手で顔を覆っているけれど、気にせず消毒に取り掛かった。 ガーゼを剥がし状態を見ると、何も問題はなさそうでこのまま傷が塞がるのを待てば大丈夫だと判断する。 消毒液をつけていくと、克昭が身体を震わせたことに気づく。
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