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授業開始ぎりぎりに戻った俺はそのまま自分の机に行き、授業の準備をしているとすぐに午後の授業は開始された。 英語の授業のため暇だと思いながらも教師の話を聞く。 あっという間に放課後になり、帰ろうと俺の元にきた壱那に担任から頼まれたことを伝えた。 「えー、毎日!?わざわざ蘭華が教えなくてもいいのに・・・。」 「まぁ仕方ないよ。だから一緒に帰れなくてごめん。」 渋々受け入れ帰っていく壱那に、やれやれと蘭華はため息をつく。 今日から平日は毎日1時間2人に追試のため勉強を教えなければならない。 克昭と芳村が教科書類を持って俺が座る後ろの席を向かい合わせにして座った。 「せっかくだから英語から。さっきのさっぱりわからなかった。克昭わかった?」 「俺がわかるわけないだろ。どうせ使わないもの覚えて何になるんだ?俺日本から出る気ねーし。」 日本から出る気がない・・・それは俺がアメリカに移住しても克昭は俺の所に来ることはないということだ。 わかっていた・・・それでも胸が締め付けられ苦しくなる。 やっぱり俺のことは何も気づいてもなければ何も知らないないということなんだなと改めて思い知らされる。 やっぱり俺はもう日本に戻らないほうがいい・・・。
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