306人が本棚に入れています
本棚に追加
蘭華は既に決めていた。
大学入学と共に自分の国籍はアメリカに決めようと。
これ以上克昭の隣にいることが辛いだけならば、日本に国籍を置いても意味がないのだ。
この学園は髪の色などは自由になっているため、卒業式はそのまま黒じゃなくてもいいだろうと俺は思った。
芳村とは家の方向が違うため、久しぶりに俺は克昭と家までの道のりを歩く。
「蘭華と帰るの久しぶりだな。お前は好きなやつに告白しないのか?」
「さあね・・・。無理だとはわかってるけど、言うだけなら言うかもね。まだわからないよ。」
伝えるだけならいいかもしれないとは思うけれど、それはどっちにしても月末か卒業式のどちらかになる。
そうか・・・どっちでもいいとは思うけれど、何もないというのも・・・。
だったらひとつの賭けにでよう。
伝わるかどうかは克昭次第だということにすればいい。
どうせ叶うことはない思いなのだ。
この先一緒にいることは出来ないのだから、せめてその思いを克昭の手元におくことにしよう。
それを作るのはまだ先になるけれど、賭けるのであれば月末がいいかもしれない。
克昭が俺のところにくることはないのだから、卒業式に反応が見れたほうがいい。
最初のコメントを投稿しよう!