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優奈に一通り言った父親らしき人は俺の方を向くと胸倉を掴み吐き捨てるように言うと、思いっきり俺を殴ってから優奈を連れて家の中へと入って行った。
泣きながら優奈は「お父さん、ごめんなさい。」としか言わず、結局は克昭ひとりが悪者となり、煮え切らない思いのまま家へと帰る。
途中で蘭華に連絡を入れようとして携帯を取り出すとメッセージを受信していることに気づき開いてみた。
【彼女といるなら今日の勉強は中止でいいよな?今日も明日も、もう予定入れたから俺は忙しい、わからなかったら連絡してくれたらいい。時間が空いたら教えてやるよ。】
メッセージの受信時間からして、彼女とって言ってることはあの部屋に来たか、帰りがけに家に連れ込むところを見られたかだろう。
俺が優奈と仲良くやっていると思い込んでいる蘭華は、気遣ってくれたのか自分も別の用事を入れたらしい。
あいつと今一緒にいるのだろうか。
なぜそこが気になるのかはわからないけれど、最近蘭華とあいつの距離が近いような気がする。
蘭華と一番近い距離にいるのは自分だとずっと思っていた克昭はショックを受けていることに驚く。
口は殴られた時に切ったらしく痛みがある。
しばらく自分は彼女を作らないほうがいいのかもしれない。
受験のために勉強に専念しろということだろうかと勝手に思い込むことにした。
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