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やっぱりあれは優奈の父親で、優奈は家には連絡を入れていなかった。
なぜそうしたのかはわからないけれど、もう優奈とは付き合っていくことは無理だ。
一生を共にしたいと思っているわけでもなく、ただ今を楽しむだけの彼女と反対を押し切ってまで付き合いたいとは思えない。
なぜ誰と付き合っても長続きしないのかなんて俺にはわからないけれど、はっきりいえることは今までの女はずっと一緒にいたいとは思えなかったということだ。
優奈へと別れのメッセージを入れて、途中のコンビニでいくつか食べ物を買った克昭は、家へと帰り自分の部屋で仕方なくひとり勉強を始めた。
蘭華は1週間ぶりに壱那の部屋を訪れていて、相変わらず他の誰かが居る様子がない家だと思う。
「急に来てごめん。何か用事あったりしなかった?」
温かい飲み物を入れてくれた壱那に今更だけど謝る。
「大丈夫。特に何も用事はないから。それより大丈夫だったの?」
「克昭は新しい彼女と予定入れちゃったみたいだからね。自分から勉強教えてって言って来たのによくわからない。」
呆れ顔で精一杯平静を装いながら壱那へと答える。
あと2週間が長く感じてしまい、今すぐにでも逃げたくなるけれど、担任との約束があるため放棄することも出来ない。
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