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近づいてくる顔にあの時の行為の気持ちよさを思い出した。
下半身に熱が集まるのを感じ、心と身体は別の反応を示すことにやっぱり男は恋愛感情がなくても、身体は反応するのだと実感する。
唇が重なれば何も考えられなくなっていく。
そう壱那と行為をして快感を得ている時間だけは克昭のことを忘れていられるのだ。
壱那をベッドに押し倒して、見下ろすと潤んだ瞳で見つめられる。
「蘭華、全部吐き出しちゃいなよ。俺はこんな形でしか蘭華にしてあげられることがないけど、だからこそ俺が出来ることなら何だってしてあげるよ。」
もしかしたら壱那は気づいているのかもしれない。
それでも知らない振りをしてくれているのなら凄く有り難いことだ。
覗き込む俺を引き寄せて抱きしめてくる壱那に心の中でお礼を言った。
「ごめん。壱那、ありがとう。」
俺たちは昼間から何度も身体を重ねた。
蘭華は克昭のことを忘れようと、壱那は愛する人の体温を感じようと、それぞれの思いは交わることないままに誰も居ない部屋には壱那の喘ぎ声と、蘭華の腰を打ちつける音と淫らな水音が響く。
「あぁっ・・・もう、あぁぁぁ・・・」
何度目かの熱を同時に放ち、蘭華は覆いかぶさるようにして壱那へと倒れ込んだ。
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