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そんな蘭華をそっと抱きしめた壱那は、このまま時間(とき)が止まってしまえばいいのにと思う。 最初はただ、身体を繋げられただけでよかったはずなのに、蘭華の全てがほしいと思うようになっている。 この思いは気づかれてはいけない、そう思いながら壱那は息を荒くする蘭華を愛おしく思った。 寝てしまいそうになった蘭華はこのまま寝てはいけないと息を整えて身体を起こし、繋がりを解いてタオルを借りて身体を拭いていく。 「シャワー借りていい?壱那、それそのままじゃまずいんだよな?一緒に行くか。」 「シャワーは使っていいけど、ひとりで行けるって。いいから行ってきなよ。タオル適当に使っていいから。」 顔を赤くして顔を逸らした壱那を見て、やっぱりそうなのかもしれないと疑問に思っていたことが確信へと変わっていく。 それでもこのまま放っておくわけにもいかず、壱那を横抱きで抱えて部屋を出た。 「風呂場どこ?」 「ちょっ、蘭華。いいってば・・・。うぅ、恥ずかしい・・・。」 脱いだ服は部屋に置いてきていて、俺と壱那は何も身につけないまま、片手で顔を隠しながらも指で風呂場を教えてくれた壱那は、その言葉通り心臓の鼓動が早く俺にまで伝わってきた。
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