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「俺に、言って・・・よかったの・・・?」
「俺は壱那の気持ちに応えることは出来ないから、だから、壱那が決めて。来月の頭に俺は日本を発つ。卒業式までは戻らないつもりだけど、卒業式を終えたら俺はそのまま向こうに住むつもりなんだ。」
シャワーの音が響く中、壱那は蘭華が日本に戻らないつもりでいることを聞いて動けなくなる。
はっきりと今自分は失恋をしたけれど、それでも蘭華から離れるなんて出来ない。
「俺、蘭華とは恋人になれないのはわかってたから大丈夫。でも、友達はやめたくない。気持ちの切り替えには時間がかかると思うけど、そこは待ってくれたら嬉しいかな。だからもう少しだけ好きでいさせて。」
「ありがとう。今の連絡先使えなくなるから、新しくしたら教えるよ。それと、お風呂出たら見てもらいたいものがあるんだ。克昭は知ってるはずなんだけど、覚えてないみたい。」
蘭華は大切な友達を克昭がダメだったときのキープという形にはしたくなかった。
それにこの関係は自分の思いの捌け口として壱那を使っているのと変わらない。
自分の気持ちがこの先どう変わっていくかはわからないけれど、壱那との関係が途切れないことに安心してしまう。
「そっか。わかった。じゃあ早くお風呂でよう。」
これだけはやるからと言った蘭華に後処理をされて、風呂場でも果てた壱那だった。
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