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洗面台がある脱衣所で待っててと壱那に言った蘭華は、部屋に戻り服を着てからコンタクトを外すための液体と容器をバッグから出して壱那の待つ脱衣所へと戻る。 「コンタクト?蘭華、視力悪くなかったよね?」 「悪くはないよ。今コンタクト入ってるから外すんだ。ちょっと待ってて。」 手際よく外していった蘭華はコンタクトを外した状態で壱那へと振り向いた。 その瞳の色を見た壱那は息を呑む。 「え?青?どういうこと?」 「部屋戻ってから詳しく話すよ。」 壱那の気持ちに気づいた蘭華は全てを話そうと心に決めていた。 驚く壱那と部屋に戻り、ベッドに寄りかかりながら座る。 「俺の父親、アメリカ人なんだ。克昭は覚えてないと思うよ。俺が日本から出ないと思い込んでいるから。」 「蘭華ってハーフ!?だから英語の発音上手いんだ?」 聞いてるやつは聞いてるんだなと蘭華は思った。 克昭は俺が英語を話せないと思い込んでいるのだ。 「ハーフだよ。髪も本当はこの色じゃない。卒業式には本来の色のまま出ようと思ってる。髪も整えていくよ。日本に戻らないって言ったのは、俺の国籍をアメリカにすることにしたからなんだ。」
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