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本当は最近まで悩んでいた。 克昭の傍にいたいと思うこともあって、迷ったまま決められずにいたのだ。 限界を感じたから克昭の傍から離れ、国籍をアメリカに決めて戻らないと決めた。 「そっか・・・。俺がアメリカに行った時は遊ぼうね。住む所は大丈夫なの?」 「うん、そうだね。父さんが向こうで仕事してるから、アメリカにも家はあるんだ。俺が完全に向こう行ったら今住んでる家は売りに出すと思う。」 既に使わないと思う物はダンボールに詰め込み父さんのところへと送っている。 家のことに関しては母さんに任せているため詳しくはわからない。 「引っ越しと入試で大変だね。家に居難いならうちで勉強してもいいよ。どうせ俺ひとりしかいないし。」 「誰もいないと思ってたけど、やっぱり壱那ひとりなんだ・・・?一人暮らし?」 蘭華にならもう話してもいいだろうと壱那は思った。 「俺の家、会社経営してて、俺長男だから本当は跡継ぎなんだけど。俺ゲイだから女愛せないからさ。家にいるとお見合いとかいろいろうるさくて、無理だって言っても聞いてくれない。だから家出たんだ。そしたら大学行ってる姉ちゃんが私が跡を継ぐからって言ってくれて今は落ち着いてる。」
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