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やっと紡ぎ出し返した言葉は、克昭には大丈夫だとは思えなかったらしい。
「どこが大丈夫なんだよ。そんな青い顔して・・・。今にも倒れそうだろ。」
それはお前がいるからだ、と言いたくなったのをグッと堪えて家の中に連れ戻された俺はベッドに寝かせられた。
額に手を当ててきて確認した克昭は、熱はないなと呟き部屋を出て行く。
やっと行ったか、と小さく息を吐いた俺は芳村と壱那に体調不良でいけなくなったとメッセージを送った。
触れられた額にまだ克昭の温もりがある気がして自分の手のひらを当てる。
小さい頃は一緒にお風呂に入ったりもしたけれど、克昭への思いを自覚してからは少し肌が触れただけでも落ち着かない。
今となっては心臓が壊れそうなほどの速さで動いている。
こんな状態じゃ壱那と何度かしたあの行為は克昭とはできやしない。
どっちにしても思いは届かないのだから無理ではあるんだけど・・・。
芳村からは来週大丈夫ならどうかと返信があり、それなら今日と同じでと来週に勉強の予定が変更になる。
壱那はすぐにそっちに行くと返信がきたことに、心配かけてしまったなと思った。
克昭といることは嬉しくもあるけれど、それ以上に辛く苦しい。
気持ち悪いと言われたことが今は一番強く心に残っている。
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