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それでも克昭が心配してくれているのは確かで、寝たふりでもいいからと布団を被り目を閉じた。
眠れないのにじっとしているのは思ったよりもしんどい・・・。
もう起きてもいいだろうか。
目を開けようとしたとき視線を感じ、俺の髪をかき上げるようにして触れてきた手があった。
「蘭華・・・、寝てるか・・・。お前、どこにも、行かないよな・・・?」
すぐ近くで聞こえる声が克昭のものでその手は克昭なのだと知らされる。
視線に耐えられなくなってきた俺は早く離れてくれないかと思うけれど、簡単には離れてはくれないらしい。
その時タイミングよく玄関のチャイムが鳴り、舌打ちした克昭が部屋から出て行った。
助かった・・・。
そう思って深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
寝たふりだとバレないかと、かなりドキドキしていたけれど、克昭は気づいてなかったようでホッとする。
克昭は俺が離れようとしていることに感づいているのだろうか。
寂しそうな克昭の声がずっと頭に響き続ける。
俺がこんな思いを抱いてなければ・・・。
「だから寝てるんだって言ってるだろ!?後で連絡させるから帰れ!」
「なんでそんなこと高里君に言われなきゃならないの?」
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