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玄関を開けてみればそこにいたのが蘭華と仲が良い壱那だったことに克昭は苛々し始める。
帰れといっても帰らない相手に克昭の苛々は頂点に達しようとしていた。
久しぶりに蘭華と何の壁も感じないで一緒にいることが出来ているのに、それをこいつは邪魔をするのかと克昭は感情をコントロール出来なくなり始めている。
「・・・うるさい。何言い合ってんだよ・・・。」
部屋から出てきた蘭華を見て、克昭は起こしてしまったかと自分が情けなくなる。
本当は起こしたわけではなく、蘭華はずっと起きていたのだ。
「蘭華!大丈夫なの!?」
「なんとかね・・・。」
困る蘭華を見てこのまま大丈夫なら、自分は帰ったほうがいいのかもしれないと壱那は思う。
この家の中に蘭華の幼馴染である克昭がいることには納得いかないが、蘭華が追い出していないのなら大丈夫なのだろう。
自分は既に蘭華に振られているから友達としての接し方しか出来ないことに壱那は落ち込みそうになる。
「そっか。何かあったら連絡して。大丈夫そうな顔見れたから帰るよ。これ、途中で買ってきたからよかったら食べて。」
壱那から手渡されたコンビニ袋を受け取った蘭華は、壱那にありがとうと言って帰る姿を見送った。
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