【2】

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嬉しそうにする壱那はやっぱり可愛いと思うけれど、克昭に対する思いとはまた違う。 壱那を好きになっていたなら楽だったんだろうな、と思いながら午後の授業のために教室へと戻る。 放課後は先週と同じく1時間、克昭と芳村に追試のための勉強を教えることになっているため、教室に3人で残った。 来週の放課後には追試がもうあるため、今週末までが俺が2人に教える期限になる。 「なんでこれはこうなるんだ・・・。」 「これはこうだから、これをこうすると───。」 2人揃って頭を抱えるのをやめてくれ・・・、なぜこんな簡単な問題がわからないのか俺にはものすごく疑問だ。 「克昭・・・これ基礎わかってないじゃん。俺、何度も教えたよね?なんで覚えてないんだ?」 「うっ・・・なんでって・・・忘れちゃったものは仕方ないっていうか・・・な?」 克昭に話をふられた芳村は知らん振りしながら解ける問題を解いている。 「宗佑、聞けって。」 「俺を巻き込むなよ。克昭は女とっかえひっかえしてる間に一緒に記憶したものまで置いてきてんだよ。それに、お前本当は好きなやついんじゃねーの?」 「いるわけないだろ。なんでお前にそんなのわかる。」 芳村は人をよく見ているから克昭に好きな奴がいるというのなら本当のことかもしれない。
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