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永遠に離れようと以前は思っていたのに、期間を決めてしまう自分は弱いのだと実感する。
それでも今は克昭と一緒に居られる時間を大切にしなければと思う。
辛く苦しい時もあるけれど、それは今だけなのだと自分に言い聞かせて。
荷物を置いて部屋着に着替えた俺は、ダイニングへと戻った。
夕食を作り終えたのか母さんは椅子に座ってひとりお茶していて、俺も飲み物を作って向かい側に座る。
「とりあえず携帯のことね。今使ってる携帯は出発前に解約することにしたわ。新しい携帯を向こうで買うことになったから友達には言っておいてね。どこかにみんなの連絡先をメモしておいたほうがいいと思う。」
「わかった。みんなに言っておくよ。それでこの家は?」
数日連絡が取れなくなるだろうけど仕方ないだろう。
克昭には悪いけど、聞かれたら携帯は事情があって解約したとだけ話そう。
「売りに出すわ。蘭華がもし日本で仕事をすることになったときはどこか借りてくれると助かる。大学も受かれば何年も向こうだし、私もそう簡単に戻ってこれないし、このまま所持していても費用が無駄だから。」
「売るっていつこの家出ればいいの?」
まだ生活しているから荷物がそれなりに残っているため、完全に荷物を撤去しきれていない。
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