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妄想SS小説【ある日ふたりが出逢いました】
☆part①《それは突然の邂逅》☆
彼の名は『春日部 伊織(かすかべ いおり)』十八歳、男。この話は、まだ伊織が翡翠ヶ丘大学に入学するまえの出来事だ。
伊織「……この界隈(かいわい)も、そろそろ飽きたな。どの娘(こ)もみんな、僕の顔と体躯だけが目当てだって、嫌でも思い知らされてしまう」
翡翠ヶ丘繁華街の外れ、夜の帳に爛々(らんらん)とネオンの瞬く眠らない街、翡翠ヶ丘の不夜城。
彼はひとり、この歓楽街にあふれる雑踏を縫うように歩きながら、自嘲を含む科白をひとりごちる。
類まれなる美貌と均等のとれた長躯。薫り高く咲き誇る薔薇のように、血色の好い頬に陶器のような艶肌。口角のあがった品の良い口唇からは、朝露の甘い蜜のようなバリトンを奏でる。
家族環境の複雑な伊織の境涯。家に居場所のない彼は、殆ど帰る事がなかった。
それで夜な夜な街にくり出しては、忘れてしまいたい淋しさを女性の肌と翠帳の温かさで、紛らわせるという日々を送っていたのだ。
女性「キャッ……ごめんなさい。私ったらよそ見しちゃって、お水をかけちゃった¥(//∇//)¥」
伊織「いえ、僕の方こそ考え事しながら歩いていたので。前方不注意だった僕が悪いんです」
女性「いやんッ¥(//∇//)¥ お兄さんたら優しいのね♪……やだ、でも水がかかった場所……お兄さんの大事なポジションじゃない¥(//∇//)¥」
フラワーショップの店先。花に囲まれ働く、美しくも愛らしいひとりの女性。
彼女の放った打ち水が、見事伊織の股間にヒットしたのだ。驚きの声を上げながらも、妙に色を帯びた彼女の声音と上気する頬。
伊織は己の下肢を俯瞰(ふかん)しながら、『これはさすがに……お漏らしみたいに見えるかな』などと、顔には出さずに途方に暮れてしまうのであった―――
それは伊織と運命の女性との、偶然とも必然ともつかぬ、濡れそぼつ突然の邂逅であった。
女性「濡れるだなんて、いやんッ¥(//∇//)¥」
次回 《イヤよダメよもエロのうち?》 どうぞお楽しみに!!
※夜に打ち水とは何故ぴろりん? だなんて、そんなつっ込みダメだめ凛(。>∀<。)テヘッ
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