549人が本棚に入れています
本棚に追加
「…何でこっちに?」
昔の話題は避けたくて、隆二の話をスルーする。
ワインに口をつけると、「うま~っ」と声を高くする隆二。
物足りないのか、再びワインをグラスに注いだ。
「こっちで脳卒中学会があんの。
怜斗がボストンにいるって聞いて、ついでにな」
脳卒中専門医師の隆二。
冬こそ多忙な時期だというのに、疲労を感じさせない隆二はタフな男だ。
「いつ帰んの?」
「明日。もうちょっとゆっくりしたかったんだけど、患者が待ってるからね」
そう言うと、どこか嬉しそうに鞄から缶詰類を取り出す。
「今日は飲もうぜ!
俺、お前に会うの、すっげぇ楽しみにしてたんだからな!」
変わらない隆二の笑顔に、胸が熱くなった。
最初のコメントを投稿しよう!