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『…ご苦労様、怜』
すべてを終えた俺に向けて、美桜は最後まで惨酷な言葉を突きつけた。
『…本当の私の目的はあなたの手で彼女を傷つけることだった。
最後まで私の罠に引っかかるなんて、どこまでも優しくて、愚かな人…』
美桜は最後の最後まで罠を仕掛けていた。
彼女を傷つける選択をした俺に待っていたのは最悪な結末。
すべてを悟った時、深々と地面にうなだれた。それ以上俯けないほどに。
『……葉…瑠』
青ざめた顔をして、ビクともしない俺は、今にも死んでいくかのように打ちのめされていた。
『ごめん…葉瑠………ごめんっ…』
何度も、そう言いながら。
美桜の目的は俺の手で彼女を傷つけること。
俺の手で彼女を汚すこと。
俺は最後まで、美桜のシナリオ通りに動いていたのだ。
彼女を守る選択をした俺は、結果彼女を傷つけ、俺自身を絶望に追い込んだ。
それが美桜の望みだった。
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