549人が本棚に入れています
本棚に追加
『……っ』
無数の涙が地面にこぼれ落ちていく。
色を失った俺を見て、美桜はただじっと、その姿を見つめていた。
『……さよなら、怜…』
美桜の声は震えていた。
すべての目的を果たした美桜は、何を得たのだろう。
記憶とは惨酷なものだ。
消したくても、消したくても、消えない。
どこまでもついてくる。
永遠に、ずっと、そしてこれからも。
俺は無理やり過去を封印させると、ぎゅっと目を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!