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静寂な夜。
静けさに包まれる中、携帯の振動が鳴り響いた。
震える指で通話ボタンを押すと、健の声が耳元で響く。
『あ、怜斗?
プロポーズどうだったかなと思って。
気になって電話したんだけど…もしかしてまだだった?』
「……ああ」
『そっかー、頑張れよ!
応援してるからな!』
健の声援に胸が締めつけられた。
「なぁ……嫌いになってもらうにはどうしたらいいんだろうな…?」
『……は?』
「……憎んでもらうには…どうしたらいい?」
『お前プロポーズすんだろ?
何不吉なこと聞いてんだよ』
「……知り合いの話」
『ふーん……。
憎んでもらうには…ね。
どうだろう?
傷つけて、傷つけて、今までの幸せな思い出も全部消してしまいたくなるほど嫌な記憶に変えるしかないんじゃね?
ま、どちらにせよ、人を傷つける選択なんて間違っているけど』
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