貫いた嘘と真実④ 

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ボストンに来て四度目の冬。 渡米して約三年の月日が経っていた。 カレンダーをおもむろに手に取ると、三ヵ月先のページをめくる。 日付を確認すると、目立つように赤い文字で記しをつけた。 “JAPAN” 雑な字で、そう綴った。 ……帰る。日本に。 声にせず呟くと、小さなため息がこぼれた。 ……何もかも捨ててしまった俺に、帰る居場所なんてあるのだろうか。 忘れられないあの雨の夜から三年。 俺は変わらず、一人で生きていた。
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