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「まず、この手記の内容を簡単に説明しますと自分の生い立ちや生まれ持った能力にまつわる回想や政治家を志すきっかけとなったある人物について触れられております。驚くべきことはリュウの政策のほとんどがここに書かれている男の助言によって作り上げられたものであるという点です。そしてその男は当時のリュウ自身が把握していなかった別の能力によってこの世から消されてしまったということも書かれています。これもまた初めて明かされたことですが、その消えてしまった男の名前から、政治政党をリュウネクストとし、自らの名前もリュウに改名したということでした。その前はなんという名前だったのかは記されていませんでした。あと、その男の名前の部分は文字がかすれて読み取れませんでした。文中のニュアンスからリュウもしくはリュウのような名前だっただろうと推察されます。これは歴史的にも、とても貴重な資料であると考えて間違いないでしょう。これだけ古い文書がとても良い状態で保存されていたことはおそらく歴代の大幹部クラスでも閲覧することはできなかった程の代物ではないかと考えられます。私からの報告は以上です。」
背の低い男が話し終えると再び拍手が巻き起こりピタっと消えた。背の低い男は手に持っていたメモを懐へしまうと元いた場所へと戻っていった。法衣の男が言った。
「それは大変興味深い話である。引き続き調査を続けるように。永年の悲願であった今回の調査には大きく分けて二つの目的がある。まず一つは聖都モヘンジを壊滅させた原因の究明である。しかし原因がどうあれ、たとえ真実にたどり着いたとしてもそれは我々教団の躍進に直結するものではない。もう一つの目的は政治政党リュウネクストの創設者であるリュウがどのようにして世界を統治し、自身が亡くなった後も永年に渡ってその状態を維持することに成功したのか、その方法を探ることである。その叡智は10人の大幹部や聖都モヘンジのどこかに存在していたのだろうが今となっては我々教団の者でも知る者はいない。どちらも大事だが、後者の方が我々教団が再び世界を統治するためには極めて重要な優先すべき任務である。では最後に。えーと、君は調査団のお手伝いか何かか?え?うんうん。ほう、かなり優秀な団員だと。では前へ出て話したまえ。」
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