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この公園でお互いの想いを確認して、楓と大和が恋人同士になってから一ヶ月。
まだキスしかしたことないけど、まだまだ幼い恋人だけど、楓は充分幸せだった。
楓と付き合い始め、部活に入り、クラスのみんなに少しずつ溶け込みだした大和が、ちょっと眩しい。
自分だけを見てくれないことが、ほんの少し悔しい。
だから楓だって大和に負けないよう頑張ることにした。
スポーツは苦手だから勉強。
大和にも教えてあげるから、ほんのちょっと優越感。
だけど教室での二人はあくまでクラスメイト。
当然、恋人同士なのは秘密。
学校が終わってからの、公園で過ごすわずかな時間は貴重なのだ。
夕陽を顔に受けた大和が、大きな鞄を肩から抱えて走ってくる。
楓の顔が思わずほころぶ。
「すまんっ、待ったか?」
「うん、ちょっと。でも大和くんのこと考えてたから、全然、いい」
「なんだよ、俺のことって」
「へへへ」
「笑って誤魔化すな」
「いーの、いいこといっぱいだから、いーの」
二人してニコニコと笑う。
もうすぐそんな時間がやってくる。
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