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私の夢なんだから知っていても不思議はないのに、思わず椅子に座りながら声を上げてしまった。
「メイサとよく似ているから。お姉さんも君と同じ12歳の時にここへやって来た。その時もお茶会に招待して、君の事も聞いたよ」
「そうなんだ……」
ちょっと複雑な気分。
お姉ちゃんは昔は優しかったけど、中学に入ってからはなんだか人が変わってしまった。
服装が派手になり私を見る目も冷たくなって、今では話しかけてくれる事もない。
家ではスマホを片時も離さず、時々、真夜中過ぎにお姉ちゃんの部屋から話し声が漏れ聞こえてくる。夜中に電話なんて、お姉ちゃんも相手の人も不良なのかもしれない。
『ねえねえアリスさん、もう一杯お茶はいかが? さあさあ遠慮なんかしっこなしだヨ」
突然目の前のウサギが、私の顔の前にティーポットをズイッと差し出した。
「え、私まだ一杯も紅茶もらってない……」
『じゃあじゃあトランプクッキーをもう一枚どうぞ。次はスペードの模様のをネ』
「クッキーも食べてませんけど」
『食べるんだよおぉぉォ! 次は次はスペードをぉぉォ!』
ウサギがお皿の上のクッキーを取り上げ、出っ張った前歯でガリリと噛み砕く。するとその口から小さな悲鳴のようなモノが聞こえた。
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