必要悪

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虐待を未然に防ぐのは難しい。 完全に家庭内のトラブルを防ごうとすれば常に監視しなくてはならなくなるだろう そうなれば問題のある家庭ならいいがなんの問題もない幸せな家庭まで監視の対象となってしまう そんな世界では個人の思想や自由を奪いかねない。 子供を産んだその瞬間に親は人権を剥奪され子供は機械的に育てられるようなものになってしまうだろう。 親の人権を尊重しようとすれば家庭内に深く干渉する事は出来ない。 故にある家庭に最悪の事態が起ころうとしてもそれを察知する事は出来ない。 男は腕を振り子のように大きく振り上げ母親の顔を両腕で交互に殴りつけていた。 右腕を振り上げたときに男の視界に子供が入ってきた。 そう子供は男に対してすぐそばまで来ていた。 男がそれに気づいた時には一閃の光が走る 憎悪にまみれた怒りの一閃が男の首にある頸動脈を切り裂いた! 噴水のように吹き出す鮮血を浴びる子供は慌てて首を抑える男の胸に深々と怒りと共に握られた包丁を、その憎悪を突き立てる 即死 男は仰向けに倒れ込みピクピクと体を痙攣させていた。 その姿を子供は微笑しながら眺めていた。 母親は何が起きたのか理解出来ないでいた 「お母さん…大丈夫?」 全身に大量の鮮血を滴らせながら子供は母親を気遣う 言葉が出ない母親は必死に考える 何が起きたのか?何をすればいいのか? 兎に角、救急車!救急車を呼ばなきゃいけないと電話の方へ移動する
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