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「亜月…おまえはとても悪いことをした、わかるな?」
先程は即答した稔だが今回は少し考え込んでいた。
「わかりません…僕は頭が悪い子だから何故悪い事なのかわかりません…」
普通ならふざけているような答えだが稔の表情は真面目で決して担任の谷坂をバカにしている口調では無かった。
……右手で口を覆い右腕の肘を左手で支えながら、しばし考える谷坂
「亜月、殴られたら痛いだろ?だから人が怪我をするような事はしてはいけないんだ…下手をすれば相手、野谷は死んじゃっていたかも知れないんだぞ?」
ノヤ タクヤ
野谷 拓也、稔に大怪我をさせられ病院送りになった生徒の名だ。
「野谷が死んだら当然、野谷のご両親は悲しいし先生やクラスのみんなも悲しい、勿論今回は命に関わるような怪我では無かったようだが、それでもみんな悲しい事には変わりはないんだぞ」
稔はうつむきなにも言わない…
谷坂はようやく亜月が反省し始めたと思いたたみかける。
「みんなが悲しむのは嫌だろ?亜月」
「…うん、人が悲しむのを見るのは嫌です」
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