気まぐれなんです

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入学式の日。 オレは校内のベンチで、眠っている女の子を 見付けた。 遠目だから顔はよく見えない。 先輩かな? 緊張していたということもあり、オレは深く 考えずに昇降口へと向かった。 教室に知り合いがいないオレは、やることもなく 一人教室を見渡す。 すると、空いた隣の席が目に入った。 入学式をサボるなんてことはないだろうし… 休み、か? そんなことを考えていると名簿順に自己紹介が 始まる。 「藤井秀也(フジイ シュウヤ)です。 家が遠いので今は一人暮らしをしています。 オムライスを作るのが得意です。 よろしくお願いします。」 …よし。 スムーズに話すことができたことに満足しながら オレは椅子に座った。 空いた隣の席の人の番になると、教室が静まり 返る。 「…あー、次は」 ガラッ 先生が口を開くとそれを遮るように教室の前方の ドアが開いた。
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