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残されたハヤト達は宿主の家の中に三人で腰かけてもまだ余裕がありそうなL字型のソファーが置かれている部屋を見つけた。ゾーイとボブが横に長い方へ寝転がったり深く腰かけたりしている。ハヤトは横幅が短い方へ浅く座った。ハヤトが真面目な顔つきで話を切り出した。
「これからどうしようか。」
「俺はまだ居てもいいけど。護衛はないって話だから次に何を目的にするかだな。ここに泊めさせてもらったお陰でお金も全然使ってないし、せっかく休みなのに忙しい宿屋の主人の身の回りの世話でもしていくか。料理なら作れるし。あとはもう一度だけでもいいからシーラ様の御姿を拝見したいものだな。」ゾーイが言った。
「町中の宿屋は傭兵の希望者で混雑して泊まることすらできない中とても運が良かったよね。ハヤトが時魔導士の家系だと知ることができたのだってすごいことだしね。アマモは小屋の中で退屈そうだから散歩でもして過ごそうかな。街の外にモンスターいないしね。畑の様子でも見させてもらって森に帰ってから役立ててみようかな。」ボブが言った。
「それじゃとりあえずもう少しここでお世話になろうか。いずれにしても帰る時はまたあの山の麓の宿屋に立ち寄ることになりそうだし。それに気にかかることがあるんだよ。謁見の時にも話したけど俺が住んでるところの長老が言ってたことがさ。」ハヤトが言った。
「ああ、モンスターを倒せばもっと強いモンスターが来るかもしれないって話か。」ゾーイが言った。
その時、玄関の方に慌ただしく駆け寄って来た足音が聞こえてきた。鎧を身に着けた重さのためかドスドスと振動とともにやって来たのは先程宿主と一緒に城へ向かったはずの兵士だった。汗だくになり肩で息をさせながら言った。
「はぁはぁ。忘れ物があったようなので取りに参りました。リュックサックの中にノートがあるそうなので、ああ、これですか。はぁはぁ。ではお預かりしました。あとこれはセバスチャン殿から預かったこの家の合鍵です。」
ボブがリュックサックの中からノートを見つけると兵士に手渡し、別の手で同時に家の合鍵を受け取った。兵士は再び走って城の方へと向かって行った。ボブは再びハヤトとゾーイがいるソファーへと戻った。ボブがハヤトに合鍵を手渡すとハヤトが言った。
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