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じゃあ何で今ここにいるのかって?
人間に餌を貰っているじゃないかって?
違う。
貰っているんじゃない。
これは正当な報酬。
報酬に見合う仕事をしている。
あと5分も経てば分かる。
ほら、今朝も来た。
『カーッ!』
『カァ!』
へえ、今朝は気合い入った鳴き声だね?
あたしの目の前に舞い降りた2羽のカラス。
この家の生ゴミを狙ってる。
それにしても、しつこい奴等。
「いいかげん諦めないと、あたしも本気出すよ」
大袈裟な鳴き声で威嚇しながら近づいて来るカラスに向かい、姿勢を低く構える。
2羽が左右に分かれるが、そんなごまかしは通用しないよ。
2羽を1度には狙わない、
右から来る奴に向かう、そう見せかけて反転、逆から来る間抜けなカラスに研ぎ澄ました爪を打ち込むと、ザクッという音に続いてけたたましい鳴き声が聞こえる。
ギャーという断末魔とも取れる叫び声。
大げさが好きな奴。
殺しはしない。
目覚めが悪くなりそうだし。
でもね、次は容赦しないよ。
体中の毛を逆立て、今度はこちらが本気の威嚇。
怖じ気づいたカラスは一目散に逃げ出した。
やれやれ。
明日になればまた違うカラスが来るんだろう。
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