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前からお父様とお母様が私のことを天邪鬼だと言って笑ってた。
「猫は自由気ままっていうけど、クリームはそのままだね」って。
その時はなんだか誇らしく思ったけど、今の状況ではむしろ嫌な気分だわ。
それでも、この子は私の嫌味に腹を立てることはしなかった。
「あたしが、クリームお姉ちゃんが怒られるところを見たくなかったの。お姉ちゃんはあたしが嫌いだけど、あたしはクリームお姉ちゃんのこと好きよ」
また都合の良いことを言って。
嘘なんでしょ。
そう言いたそうにしているのにこの子はすぐ気づいた。
「お姉ちゃん、あたしが来てすぐの時に寒くないようにって横に寄り添って寝てくれたでしょ。それが凄く嬉しかったの」
そんな初めの時のことを言われても。
あの時はまだ、お母様やお父様がこの子をこんなに可愛がるなんて思わなかったから。
それに、その後のことを思えば…。
私は何も言えなくなってしまった。
「お姉ちゃん、いっぱい怒らせてごめんね」
なぜあなたが謝るのよ。
悪いのは私じゃない。大人気なく嫉妬して、八つ当たりして。謝るのは私だわ。
でも、素直じゃない私はそんなこと言えない。
「いいわ。許してあげる。あなたはこの家のルールを分かってなかったのだから仕方ないわ。私がこれから教えてあげるから、ちゃんと覚えなさい。いいわね」
私が言うと、あの子ったら目を丸くさせて嬉しそうにした。
「うん!覚える!」
「いいわ。とりあえずオヤツをねだりに行くわよ。さっきのでお母様は怒ってるだろうから、私が行くわ。よく見ていなさいよ。あくまで私達の方が上だと思わせなきゃダメなんだから。あなたは下手に出過ぎなのよ」
うん、うん、と素直に聞いてくれる。
私に足りないのはこういうところなのかしら。
でも、同じ白猫で個性が被ってたらつまらないわ。
私が歩くと、その後ろにピッタリとついてきた。
歩き方が自信なさげでダメだわ。もっと優雅に歩かなきゃ。でもいいわ。歩き方からなんでも全て私が教えてあげる。
だって、私はこの子のお姉ちゃんだもの。
私はふふんっと顎を高く上げながら胸を張って歩いた。
「今度、あなたと同じ名前の飲み物を一緒に飲みましょう」
その時は隣同士でね。
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