第一章

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アイリの墓前だという事も忘れ、駆け出しそうになった時。 ヨクレの隣に、小さな女の子が見えた。 躊躇うと、ヨクレの方から近付いてきた。 「久し振り…。」 「………。」 「リンも来てたんだね。」 ヨクレは笑っている。だが確かにひきつっている。 「…今日、だもんね。」 必死に言葉を紡ぐ彼女に掛ける言葉が、見付からない。 「……やっと落ち着いて、やっと来れたよ。アイリの……お墓参り。」 嘘だ。落ち着いてなんかいない。 わかっているのに…。 ヨクレはアイリの墓前に立つと、そっと手を合わせた。 「……ヨクレ。」 友に祈るヨクレを呼ぶと、彼女はすぐに振り向いた。 「……会いたかった。」 照れ臭くも、本音だった。
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