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アイリの墓前だという事も忘れ、駆け出しそうになった時。
ヨクレの隣に、小さな女の子が見えた。
躊躇うと、ヨクレの方から近付いてきた。
「久し振り…。」
「………。」
「リンも来てたんだね。」
ヨクレは笑っている。だが確かにひきつっている。
「…今日、だもんね。」
必死に言葉を紡ぐ彼女に掛ける言葉が、見付からない。
「……やっと落ち着いて、やっと来れたよ。アイリの……お墓参り。」
嘘だ。落ち着いてなんかいない。
わかっているのに…。
ヨクレはアイリの墓前に立つと、そっと手を合わせた。
「……ヨクレ。」
友に祈るヨクレを呼ぶと、彼女はすぐに振り向いた。
「……会いたかった。」
照れ臭くも、本音だった。
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