0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「…何て声を掛けたら良いのかわからなくて。」
「……そうだよなぁ。でも、いつも通りで良いんじゃないのか?リンくんは何も悪いことはしていないんだ。」
何も悪いことはしていない。
そんな事はわかっている。自分はアイリを止める以外に救う方法は無かった。
ただ、アイリを見殺しにしたような気がして仕方が無かった。
「ヨクレも、よくリンくんの様子を訊ねてくるよ。」
「…。」
「ヨクレもヨクレで、後悔してるよ。リンくんまで失う事になるのではと、心配してるんじゃないかな。」
「…。」
「今日はアイリくんの命日だな。これから行くのか?」
「…はい。」
「そうか。気を付けて行くんだ。」
ツバサに会釈をすると、リンは歩き始めた。
ツバサにそう言われれば、ヨクレに連絡をしてみたい気持ちも膨らむのだが、あれから9年。どんな言葉を掛ければ良いのか、今更。迷惑ではなかろうか。
最初のコメントを投稿しよう!