第一章

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「…何て声を掛けたら良いのかわからなくて。」 「……そうだよなぁ。でも、いつも通りで良いんじゃないのか?リンくんは何も悪いことはしていないんだ。」 何も悪いことはしていない。 そんな事はわかっている。自分はアイリを止める以外に救う方法は無かった。 ただ、アイリを見殺しにしたような気がして仕方が無かった。 「ヨクレも、よくリンくんの様子を訊ねてくるよ。」 「…。」 「ヨクレもヨクレで、後悔してるよ。リンくんまで失う事になるのではと、心配してるんじゃないかな。」 「…。」 「今日はアイリくんの命日だな。これから行くのか?」 「…はい。」 「そうか。気を付けて行くんだ。」 ツバサに会釈をすると、リンは歩き始めた。 ツバサにそう言われれば、ヨクレに連絡をしてみたい気持ちも膨らむのだが、あれから9年。どんな言葉を掛ければ良いのか、今更。迷惑ではなかろうか。
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