第一章

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ーー 風が吹いて、木々をざわざわと揺らした。 散る葉が顔に当たりながら落ちていくのを感じる。 目を閉じ、手を合わせながら友に祈れば、会話できる気がした。 しかし友は現れない。近くに気配も感じない。遠い亡き地で今もさまよっているのだろうか。 「…アイリ。」 目を閉じたままで、友の名を呼ぶ。 今年も来たよ。元気にしてる? なんて、下らない言葉を掛ける。 やっぱり返事は無くて、また来年も来るね、と言って目を開けようとした。 「リン!」
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