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「ウソ、みたいだな」
「何が?」
「いなくなっちゃうなんて」
そんな言葉を、抱きしめられた状態のまま、相手の腕の中で、私は聞いてた。
壁を見つめ、ボンヤリと思ってる。
もう二度と、自分が、この部屋のカレンダーをめくることも、ないんだろう。
刻まれた思い出は、たくさん…もう、じゅうぶんすぎるほど、記憶の中に残ってる。
青春とか、恋愛の、残骸として。
それでいいんだ。
終わりにしなきゃ。
長い年月を、手を取り合って一緒に歩んできたけれど、別々の道を行くと決めた。
私と、この人の時間は、二度と進むことはない。
今夜を最後に、ずっと永遠に止まったままだ……
そうしなければ、いけない。絶対に。
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