―悪い男―

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壁にかけたカレンダーを指でなぞる。 大きな赤丸の付いた日づけは、明日。 …私の結婚式…だ。 だけど今、自分のそばには、夫となるべき人とは、別の、男がいる。 「12月最後の週末に 式あげるなんてタブーだと思うけどな」 隣に並んで立ち、スマホ片手にブツブツ言ってくる、この男。 「うるさい。空いてなかったのよ、式場が。 半年も前から探してたのに…」 「わざわざ遠方から来るやつだっているだろ? クリスマスシーズンにホテルの予約とれるわけない。 どうすんの?ネカフェ?カプセル?ゲストに野宿させる気? アハハ」 「…………………」 言いたい放題、いやみ放題、腹のたつ‥この相手は、地元が一緒の、一個下… 長年、同じ保育園、小学校、中学校、高校に通い、まぁ、ほとんど生まれた頃から(?)近所の顔見知りだったような仲。 つまり、一言でいえば、幼なじみ。 お互い、家族ぐるみのつきあいで、親どころか、じいちゃんばあちゃんまで、すごく仲良しだ。
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