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「寂しくなるよね。オレも、そっちも」
「平気だよ」
本心なんて…言えるわけないし……
だけど、きっと、気づかれてる。
読み取られてる。
ほとんど以心伝心状態。
昔から、そうだったじゃない。
「本当に?…大丈夫なの?
不安なのは、オレだけ?」
ちゃんと、できるの?
自分がいなくても、やっていけると思ってる?
私の両目をのぞきこむようにして、見つめてくる瞳に、そう、問われた気がした。
「待ってるよ…オレ、ずっと。
今夜がオレらの最後じゃないって、信じてる……」
唇が重なって…私の体をつかむ、相手の指先に力がこもる。
トンッ!
強い勢いで、壁に押しつけられた背中…
衝撃のせいで、頭上のカレンダーが、ほんの少し、揺れた………。
【完】
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